カテーテルなんて怖くない!

~不安に寄り添う、ひとつの声~

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人生初の検査入院 2泊3日のリアル

入院準備

2024年5月下旬、脳血管カテーテル検査のため、2泊3日の入院を経験しました。

正直なところ、検査そのものも入院生活も、不安と恐怖でいっぱいでした。そんな中でも少しでも気分が上がるようにと、入院前の準備には自分なりの“ときめき”を取り入れることにしました。

まずは、肌触りの良いパジャマを新調!
少しでも快適に過ごせるよう、自分を甘やかす選択です。そして、気持ちを明るくしてくれそうな「大きなリボンのついた可愛いスリッパ」をネットで探していたところ、入院先のホームページで「スリッパ禁止・かかとのある靴を着用」との記載を発見。急遽、真っ白なeccoのスニーカーを購入しました。

病院食にそっと添えられるよう、ふりかけを2種類用意。
さらに、これまで担当してきたスポーツチームのタオルをお守りとしてバッグに入れ、「大丈夫、大丈夫」と心の中で何度も唱えながら、入院の日を迎えました。

入院生活(1日目)

両親に付き添ってもらい、いよいよ入院。手続きを終えた後は、両親も30分の面会時間を終えてすぐに帰宅しました。病棟では1日3回の検温があり、シャワーは30分単位の予約制です。

思っていたよりも穏やかな時間が流れ、病院食も温かくておいしいものでした。ナチュラルローソンが併設されていたので、食事制限のない私はスイーツを買ってちょっとひと息。検査を明日に控えているとは思えないほど、ゆったりと過ごすことができました。

カテーテル検査日

朝6時に起床。
8時には点滴を開始し、8時30分にはすべての準備を整えるようにとの指示。検査着に着替え、トイレも済ませてから、8時45分に検査室へ向かいました。

検査室はひんやりとしていて、スタッフの方々は皆さん無駄のない動きで淡々と準備を進めていきます。
ベッドに横になると頭をしっかりと固定されました。カテーテル検査は局所麻酔なので、意識があるまま進行します。

「麻酔を打つときには少し痛みを感じますよ」先生の言葉の通り、痛みを感じ「痛ーい」と歯を食いしばりながら叫びました。
何かする時には必ず先生が声をかけてくれます。
ですが、頭をしっかり固定されているので、いつもより耳が聞こえにくい状態です。
先生は声をかけてくれるみたいだけど、「聞き取れなかったらどうしよう…」「もし聞き取れなかった言葉が、とても痛い処置に進む合図だったらどうしよう……」初めてのカテーテルは何から何まで不安と恐怖のスタートでした。

次に先生は「押される感じがすると思いますよ」と、穏やかな中にも「大丈夫。信じて一緒に頑張ろう」「頑張れよ」という気持ちが込められた芯のある声をかけてくださいました。
そして、血管の中にカテーテルが入っていきました。

事前に「体中に稲妻が走る」「目の裏が燃えるように熱い」といった情報をネットで読んでいたため、「その瞬間がいつ来るのか」と不安でした。

先生は「順調ですよ」「深呼吸しましょう」とこまめに声をかけてくれました。
その時、気がついたんです。
診察室で聞く先生の声よりも、大きな張りのある声で私に声をかけてくれていることに。
「先生はちゃんと私に聞こえるように大きな声で声をかけてくれている」と気づいたら「不安になることは何もない」と、先生のいつもよりも大きな声に心が落ち着きました。

造影剤を流すときにも特に違和感はなく、検査は1時間ほどで無事に終了。カテーテルを挿入したのは右の鼠径部だったため、病室にはストレッチャーで戻り、そこから4時間の安静が始まりました。

しばらくは仰向けのまま過ごしました。鼠径部を動かしてはいけません。
食事は術後1時間経過したらOKとのことでしたが、まだ上半身を起こせないため、食事はしばらく我慢しました。
とはいえ、お腹が空いたら横になったままでも食べやすいようにと配慮して、食事をおにぎりに変えてくださっていて、その心遣いが本当に嬉しかったです。

夕方には、同じフロアをリハビリも兼ねて少しだけ歩きました。足取りはゆっくりでも、歩けることがとても嬉しくて、廊下の窓から見える景色がなんだかキラキラして見えました。
夜はシャワー禁止。代わりにタオルで体を拭き、早めに就寝しました。

退院日

朝の検温でも体調に問題はなく、すべて順調。10時には退院となりました。

退院時、担当の先生から来月予定されている手術について説明を受けました。
通常、未破裂脳動脈瘤の治療法は「開頭手術」か「カテーテル手術」のどちらかで、それぞれにメリットとデメリットがあります。
私はもともと優柔不断な性格なので、もし選べる立場だったら、どちらにするか決断するのに時間がかかったと思います。

けれど、私の動脈瘤ができたのは、左目の神経のすぐそばという場所でした。そのため、開頭ではアプローチできない位置。自然とカテーテル手術一択となり、自分で決めなくていいという点では気が楽になりました。「悩まずにすんで良かった」と思える状況だったのは、ちょっと救いでした。

ただし、場所が場所だけに、手術によって視力や視界に障害が出るリスクがあると説明を受けました。目の神経のすぐ隣を通るため、術後に視野が狭くなったり、見え方に変化が起こる可能性があるとのこと。それでも、きちんとしたリスク説明と、優しい口調で話す先生のおかげで、不安よりも「お任せしよう」という前向きな気持ちになれました。

このあと、いよいよ「本番」のカテーテル治療を1か月後に控えています。
でも、今回の経験を経て、「カテーテルって怖い」という思いは少しずつ変わってきたような気がします。