カテーテルなんて怖くない!

~不安に寄り添う、ひとつの声~

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安心を生む言葉・不安を増やす言葉

体験談から見る「安心」と「不安」の言葉

💚 安心を生む言葉
「大丈夫ですよ。鼠径部から行います。」
→ 術後半年のカテーテル検査を手首から行い辛かったため、最後のカテーテル検査は鼠径部からの検査を希望していました。
緊張で胸がいっぱいだったとき、先生が穏やかに目を見て声をかけてくれました。
たった一言でしたが、微笑みと一緒に胸のつかえがすっと軽くなったのを覚えています。

❤️‍🩹 不安を増やす言葉
「鼠径部なんですね。先生なんて言ってました?」
→ 最後のカテーテル検査を明日に控えた病棟で、看護師さんに聞かれた瞬間、心臓がぎゅっとしました。ちょっと意地悪に聞こえて。
一般的に「ラク」と言われる手首からの検査を選ばなかったために、先生に負担をかけたのでは…と不安が膨らみました。

💚 背中を押してくれた言葉
「そう。鼠径部なら絶対!大丈夫!!」
→ 最後のカテーテル検査が始まった直後、私は自分に「私は鼠径部からなら大丈夫」と声に出して言い聞かせていました。
そんなタイミングで先生が力強く声をかけてくれたのです。
先生は医学的に「絶対」という表現は正確ではないことをよく理解しているのに、その瞬間の言葉の力強さが、私の心に大きな安心をもたらしました。
信頼している先生だからこそ、言葉のタイミングとトーンが、緊張でいっぱいだった心をすっと軽くしてくれたのです。

安心を生む言葉の特徴 不安を増やす言葉の特徴

💚 安心を生む言葉の特徴
患者として心に残った「安心を生む言葉」には、いくつか共通する特徴がありました。

✔ 具体的でわかりやすい(例:「5分ほどで終わります」)
✔ プロセスが見える(例:「次はこうします」)
✔ 名前を呼んでくれることで、自分が一人の人として大切にされていると感じられる
✔ 目線や表情とともに伝えてくれる
✔ その場に合った声のトーンで話してくれる
✔ 不安で胸がいっぱいになった瞬間に、そっとかけてもらえる言葉

こうした特徴は、治療中に何度も感じた『安心』に共通していたものです。
たった一言でも、心に寄り添ってくれる言葉は、大きな支えになるのだと実感します。


❤️‍🩹不安を増やす言葉の特徴
逆に、ほんの一言でも不安を増やしてしまう言葉もあります。

✘ 情報が曖昧で、先が見えない
✘ 医療用語をそのまま投げかけられる
✘ 冷たく、事務的な声色で伝えられる
✘ 「他の人はこうなのに」という比較のニュアンスを含む

伝える仕事の経験からの気づき

言葉は内容だけでなく、伝え方でも印象が大きく変わると感じます。
声の高さやスピード、間の取り方ひとつで、同じ言葉でも安心にも不安にも変わります。

医療現場は忙しいけれど、ほんの3秒のアイコンタクトでも、患者の安心感はぐっと変わると実感しました。

まとめ:患者と医療者で作る安心

患者は体調がすぐれない中で、自分の思いや不安を言葉にして伝えるのは簡単ではありません。
私自身、できていたかは分かりませんし、先生やスタッフの皆さんに失礼があったかもしれません。
それでも、私なりに心を整理して、できる範囲で声を出したり、質問したりしながら、先生を中心に多くの方に支えられ、安心して治療を受けることができました。

一方、医療者は忙しい日々の中で、多くの患者と接しながら、ひとりひとりに丁寧に言葉をかけるのも大変だと思います。
それでも、患者と医療者が互いに「伝え方」「受け止め方」を少し意識するだけで、治療の時間はぐっと安心できるものになります。

言葉は薬にも刃にもなるもの。
ほんの一言、ちょっとした声のトーンや視線で、心は落ち着き、安心できるのだと実感しました。

治療は手順だけでなく、医療者とのやり取りや声かけの積み重ねが、安心につながっていると感じました。